本ものの幼児教育を伝えよう

ベートーベン第九を歌う「幼児文化芸術祭」

3月26日、愛知県モリコロパークで第5回を開催

2017年2月18日
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モリコロパークのドーム体育館に美しい歌声を響かせた年長卒園児と先生たち。

モリコロパークのドーム体育館に美しい歌声を響かせた年長卒園児と先生たち。

ステージで歌う来年の自分たちの姿をイメージしようとやってきた年中在園児は、レッドカーペットで親子舞踏会を演じた。

ステージで歌う来年の自分たちの姿をイメージしようとやってきた年中在園児は、レッドカーペットで親子舞踏会を演じた。

最後に挨拶する8つの幼稚園の7人の園長。幼児教育の意義と芸術祭の目的を訴えた。中央が岡田勝彦会長(鳴海ヶ丘幼稚園)。

最後に挨拶する8つの幼稚園の7人の園長。幼児教育の意義と芸術祭の目的を訴えた。中央が岡田勝彦会長(鳴海ヶ丘幼稚園)。

★未来の国際人を育てるために
 2017年3月26日(日)、一般財団法人幼児文化芸術協会(岡田勝彦会長/本部=名古屋市緑区)が主催する「第5回幼児文化芸術祭」が行われる。会場は名古屋市郊外の愛・地球博記念公園(通称モリコロパーク)内のドーム体育館(リニア駅から徒歩3分)。時間は11時15分〜12時15分。入場無料。要上履き持参。
 子育て支援だ、就労支援だ、と子どもの生活を置き去りにして語られる近年の幼児教育論議に反発し、愛知県内の有志8幼稚園が集まり、「たくましい国際人になる未来の子どもたちに、芸術文化の種まきをする。それが本物の幼児教育だ。これを世の中にアピールしよう」と始まった同芸術祭が第5回を迎えた。ひとつの節目である。
 開催当日は、すでに各園とも卒園式が終わっているが、これは幼稚園生活最後のイベントでもある。8園の卒園児約500人とその家族が集まり、ベートーベン交響曲第九番「希望の歌」をみんなで歌う、それがこの芸術祭のテーマだ。そして「家族で生涯歌える歌を持とう。世界中の人と一緒に歌える歌を覚えよう」が目的だ。
 もうひとつ、やってみてわかったことがある。それは8つの園の卒園児たちにとって、この共通体験が将来にわたる強い絆になることだ。全員で歌うのは当日が最初で最後だが、歌い始めたとたん、初めて会った友だちと心のつながりを感じたと言う。何年か後、モリコロパークで大合唱をした仲間だとわかった瞬間に旧知の友だちになる。その輪が年々広がっている。さらにもうひとつ、かねてから交流のあった8園だが、共同事業を継続することで交流が強まり、経営管理や職員採用に関する情報交換も盛んになった。思わぬ副産物である。
 また卒園児にとっては、歌うこと以外にも楽しみがある。先輩たちが応援に駆けつけ、バレエ、ダンス、日本舞踊を見せてくれる。ブラスバンドの演奏を聞かせてくれる。さまざまな芸術文化に触れることができるのである。卒園児はやがて、モノづくりに、ビジネスに、スポーツに、学問に……といろいろな人生を歩んでいくが、人生をより豊かにするのが芸術であり、それは誰にも欠かせない。芸術祭での種まきが、たくさんの実をつけることは間違いない。

◆芸術祭参加幼稚園は下記のとおり(50音順)。
・栄光八事幼稚園(名古屋市天白区)
・小幡あさひ幼稚園(名古屋市守山区)
・志だみ幼稚園(同)
・中央台幼稚園(春日井市)
・とみよし幼稚園(愛西市)
・名古屋西幼稚園(名古屋市西区)
・鳴海ヶ丘幼稚園(名古屋市緑区)
・美里幼稚園(豊田市)

 幼児文化芸術協会では、こうした活動を他の都道府県でも行ってほしいと願っている。必要があれば立ち上げの手助けもできるとしている。関心のある幼稚園は、まずはこの第5回芸術祭の様子を見学することをお勧めしたい。

※第5回幼児文化芸術祭の案内チラシ(PDF)
※2016年第4回芸術祭の様子(YouTube)
※(財)幼児文化芸術協会HP
幼稚園情報センター 片岡進