埼玉県教職員大会は表彰と講演と音楽の広場

ボクシング世界王者が語る「挑戦する力」

実際に向かい合った時に本当の姿がわかる

2017年9月19日
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内山高志(うちやま・たかし)

内山高志(うちやま・たかし)
第39代WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者。1979年11月生まれ、春日部市出身。花咲徳栄高、拓大卒。社会人を経てプロボクサーに。プロ戦績は27戦24勝(20KO)2敗1分。世界タイトル防衛11回連続。チャンピオン在位期間は日本人で最長。2017年7月現役引退。

本田史子

幼小接続を中心に「新幼稚園教育要領」の改訂ポイントを解説した文科省幼児教育課の本田史子氏。

★新幼稚園教育要領のポイントは何か?
(公社)全埼玉私立幼稚園連合会(四ツ釜雅彦会長)は、2017年8月22日(火)、埼玉会館大ホール(さいたま市浦和区高砂)で「第31回教職員中央大会&幼児教育フォーラム」を開催した。5年、10年、15年…の永年勤続者に表彰状と記念品を渡すと同時に、講演や音楽の研修を行い、2学期に向けて気持ちを引き締めようというのが大会の趣旨。各地区・各園の代表として約1000人の幼稚園および認定こども園の教員が参加した。
496人の表彰者を代表して謝辞を述べたのは、坂戸市・かぴら幼稚園の堀内愛恵教諭。幼稚園に通っていた頃から「幼稚園の先生になりたい」と思っていた堀内先生は、念願かなって自分が卒園した幼稚園に就職できた。しかしその喜びの一方で、幼児教育の難しさにも数多く直面した。それを乗り越えることができたのは、先輩の先生方の指導と助言だった。いま自分がその立場になって、改めて先輩の方々の気持ちが身に沁みる。自分も精一杯に後輩の先生方と接し、そしてより多くの人々に幼児教育の素晴らしさを伝えていきたい、と述べた。
続いて行われた幼児教育フォーラムの研修は、まず文科省幼児教育課の本田史子氏(子育て支援指導官)が、2017年3月に告示され、2018年4月から導入される「新幼稚園教育要領」について、その改訂ポイントを解説した。10年ごとに改訂される教育要領は、数多くの実践研究をもとに新時代の幼児教育と子育て支援の姿を提起するものだが、今回の改訂では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を具体化し、それを踏まえて小学校の教育を行うことを小学校学習指導要領にも明記するなど、懸案の「幼小接続」に幅広く踏み込んだ内容になっている。本田氏はそれらを説明した上で、最後に、ある小学校教頭のコラムを紹介した。そこには小学校低学年の子ども達の話し合いと行動の一コマが綴られていて、幼児教育を担当する先生方の心を揺さぶった。
そしてメイン講演。今回は、春日部市出身の元ボクシング世界チャンピオン・内山高志氏(第39代WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者)が、「挑戦する力、生きる力」をテーマに自分の生い立ちと体験を語った。現役を引退したばかりの内山氏はまだ講演に慣れていない。そこで同じ春日部出身の歌手・山薫さんからの質問に答える対談形式で進められた。その中身は、苦悩と過酷、まさに血と汗の物語だったが、それをユーモアたっぷりに語る姿には、「さすが世界チャンピオンは違う」という器の大きさを感じさせた。
中でも「対戦相手は1ヶ月くらい前に決まります。それからはビデオを何度も見て研究します。でも相手の本当の強さがわかるのは、実際に向かい合って10秒くらいした時です。ビデオではわからないものがはっきりとわかります」という言葉は、子どもと向き合うことを大切にしている先生方に大きな刺激を与えたようだ。
締めくくりは埼玉県独特のスタイルである「音楽の広場」。まずは世界チャンピオンの対談相手を務めた、舞台俳優でもある山薫さんが、映画「美女と野獣」のテーマ、唱歌メドレー、熊本民謡「おてもやん」などを歌った。続いて秋田生まれでさいたま市育ちの口笛演奏世界チャンピオン・柴田晶子さんが、国際口笛コンクールで優勝したクラッシックの名曲を次々に披露。参加した先生方の心をときほぐした。最後に参加者全員で「今日の日はさようなら」を歌って大会の幕を閉じた。会場を出て浦和駅に向かう先生方のあちこちから、軽快な口笛が聞こえてきた。

※埼玉県教職員大会の様子(YouTube動画)