★新副会長に東京の北條泰雅氏
2010年5月26日(水)、全日本私立幼稚園連合会は東京市ヶ谷の私学会館で平成22年度定時総会を開催し、新しい会長、副会長ならびに監事を選出した。政権交代に伴う「新こども園構想」など私立幼稚園に突きつけられた変革課題に対し、心機一転の新執行部で対処することになる。
吉田敬岳会長(愛知県団体長/名古屋市・自由ヶ丘幼稚園理事長)に代わって新会長に選出されたのは(財)山口県私立幼稚園協会理事長の香川敬氏(防府市・鞠生幼稚園理事長)。三浦会長、吉田会長のもとで2期4年、副会長を務めてきた人物だ。
副会長には新会長の指名により村山十五氏(留任/宮城県団体長/仙台市・南光幼稚園理事長)、尾上正史氏(留任/福岡市・紅葉幼稚園理事長)、北條泰雅氏(新任/東京都団体長/港区・みなと幼稚園理事長)の三人が選任された。
新任の北條副会長は(財)全日私幼幼児教育研究機構副理事長からの横滑りという形になるが、幼児教育と私立幼稚園のあり方について明確な主張を持っている人物なので、同氏の起用は新執行部の理論的基軸になる存在と期待される。
この2年間、全日私幼連には5人の副会長がいたが、前田邦光前副会長(新潟県・真人幼稚園理事長)は北條氏と入れ替えで機構副理事長に就任するものと想定される。機構の主な事業が教員研修と調査広報であるため、全日私幼連で教育研究、広報を担当してきた同氏には適任だからだ。また機構副理事長と全日私幼連副会長を兼任してきた安家周一氏(大阪府・あけぼの幼稚園理事長)は機構に専念するものと思われる。
執行部のエンジンとなる各委員会の正副委員長は6月中頃に決定される見込みだが、執行部お目付役の監事には北海道・芝木捷子氏(札幌市・なかのしま幼稚園理事長)、神奈川県・角和一太郎氏(横浜市・ニューライフ幼稚園理事長)、兵庫県・阿部能夫氏(神戸市・鈴蘭台幼稚園理事長)の三氏が選任された。
就任挨拶で香川新会長は、「私たちには矢継ぎ早に多くの課題が突きつけられています。変革期であり混沌の時代ですが、だからこそ今を得がたい時ととらえて新たな私立幼稚園教育の役割を追求していきたい」と激動の海に漕ぎ出す心意気を語った。また同氏の地元山口県で維新の志士を育てた先人・吉田松陰の「学びは人たる所以を学ぶなり」の言葉を引用して、「子ども達の人としての学びを深めることこそ私立幼稚園の使命です」と呼びかけた。(香川新会長の就任挨拶全文は添付のPDFファイルをご覧ください)
★吉田前会長、苦悩の2年間を退任挨拶に
この結果、吉田敬岳会長は1期2年で退任することになった。2年前、吉田会長が就任したとき小誌は「どうしたことか全日私幼連ではこれまで、東京、大阪、川崎と大都市出身の会長は1期2年で退任している。それに対して佐野、青森と地方都市出身の会長は長く務めてきた。このジンクスを破れるかどうか50代の若い新会長に注目したい」と書いた。しかし結果はまたしてもジンクスどおりになってしまった。
その背景には劇的な政権交代があり、これまで政策面で自民党と連携することの多かった全日私幼連としては、民主党とのパイプを繋ぐ上でトップ交代の必要性に迫られた事情があったとも聞く。また10年に及んだ三浦貞子元会長(青森市・白ゆり幼稚園理事長)の後を受けた事情から、なかなか執行部が一枚岩になれなかった点があったとも聞く。いずれにしても、そうした様々な事情から会長交代に踏み切ったわけである。
そのへんの苦悩を吉田前会長は退任挨拶で「本当に大変な2年間でした。全日私幼連の会合に出かけて行くのを身体が嫌がることもたびたびでした。でも多くの方々の激励と支援で何とか任期をまっとうできたことを感謝します」と述べた。吉田氏は愛知県の団体長、東海北陸地区の地区長として引き続き執行部にとどまるが、その苦い経験が今後の全日私幼連活動に生かされることを期待したい。
【添付資料】香川新会長の就任挨拶全文(
PDFファイル)
幼稚園情報センター代表・片岡 進